遺品整理を始める前に:準備と心構え

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遺品整理に取りかかる前に、まず十分な準備と心構えを整えておきましょう。事前準備を怠ると、いざ作業を始めてから「アレが足りない」「どう進めればいいかわからない」と混乱しがちです。こちらのページでは、遺品整理をスムーズに進めるための具体的な準備事項と心構えについて詳しく解説します。

遺品整理を始める前に準備すべきものリスト

作業を開始する前に、以下の道具や資料を準備しておくと便利です。

  • ゴミ袋(大量) – 分別した不要品をどんどん袋に入れていけるよう、多めに用意します。燃えるゴミ用・燃えないゴミ用に色分けされている袋だと仕分けが分かりやすくなります。
  • ダンボール箱 – 残すものや譲るもの、後でじっくり確認したいものなど、一時保管が必要な遺品を入れておくのに使います。サイズ違いで何箱かあると大型の物から細々した物まで対応できます。
  • ガムテープ・ひも – ダンボールを封したり、雑誌や書類をまとめて縛ったりするのに使用します。
  • マジックペン・ラベルシール – 箱や袋に中身や行き先(例:「写真(保管)」「衣類(処分)」など)を書いて貼っておくことで、後から見ても分類が一目で分かるようにします。
  • 軍手やゴム手袋 – ホコリや汚れから手を守るために必須です。割れたガラスなど思わぬ危険もあるので、丈夫な手袋を着用して作業しましょう。
  • マスク – 長年開けていない押入れや棚にはホコリが溜まっています。掃除中にホコリを吸い込まないよう、不織布マスク等で防塵対策をしてください。
  • 掃除道具一式 – ほうき、ちりとり、掃除機、雑巾、バケツ、洗剤など。遺品を運び出した後の清掃や、埃を払いながらの仕分け作業に使います。
  • 懐中電灯 – 押入れの奥や物置の中など、暗い場所を確認する際に役立ちます。スマホのライトでも代用できますが、長時間の作業では懐中電灯があると便利です。
  • 必要に応じて工具類 – ネジ外しや分解が必要な家具がある場合はドライバーやレンチ類も用意しておきましょう。また、脚立があると高所の荷物を下ろす際に安全です。
  • 筆記用具とメモ帳 – 発見した重要な書類や貴重品のリストを書き留めたり、後で行う手続きのメモを取ったりするのに使います。
チェックリスト

以上のような道具を事前に揃えておくことで、作業中に「あれがない!」と中断することを防げます。特にゴミ袋やダンボールは想像以上に大量に必要になることが多いので、多めの準備を心がけましょう。

心構えと事前の段取り

遺品整理は肉体的な作業であると同時に、精神的な負担も大きいものです。進めるにあたっての心構えや、前もってやっておくと良い段取りを押さえておきましょう。

  • 焦らずマイペースで – 遺品整理では、思い出の品に手が止まって涙がこぼれる…といったことも珍しくありません。感情を無理に抑え込もうとせず、時には休憩を取りながらマイペースで進めましょう。一度に全部終わらせようとせず、「今日はこの部屋だけ」と範囲を決めて少しずつ進めても大丈夫です。
  • 家族や知人のサポートを得る – 一人で作業を抱え込むと、心が折れそうになる瞬間もあるでしょう。信頼できる家族や親しい友人に手伝ってもらえるなら、お願いするのも良い方法です。他の人と話しながら進めることで気持ちが紛れ、効率も上がることがあります。また、親族で遺品を分け合う「形見分け」は、皆で集まって話し合いながら決めると後々のトラブルも防げます。
  • 作業スケジュールを立てる – 事前に大まかな作業計画を立てておきましょう。いつ・誰が・どの部屋を担当するのか、粗大ゴミの回収日や業者に依頼する日程などをカレンダーに書き込んでおくと安心です。特に賃貸物件で明け渡し期限がある場合は、逆算して計画的に進める必要があります。
  • 貴重品と重要書類の捜索 – 遺品整理を始めたら真っ先に行いたいのが、現金・貴金属・通帳・印鑑・有価証券・保険証券・権利証などの貴重品探しです。タンスの引き出しや棚の奥、本の間など思わぬ場所から出てくることもあります。処分の袋に入れてしまう前に、一通り念入りに探しましょう。家の中を探す中で遺言書が見つかるケースもあります。前もって心当たりの場所を確認しておくか、親族に聞けるなら「エンディングノート」や遺言の有無を確認しておくと良いでしょう。
遺言書

これらの心構えと段取りを踏まえておけば、いざ遺品整理に取り掛かったときに落ち着いて対処できます。準備万端にしておくことが、結果的に作業効率を上げ心の負担を軽減することにつながります。

役所や各種手続きの確認リスト

遺品整理と並行して進めるべき、故人に関する各種手続きにも注意が必要です。以下は主な手続きのリストです。遺品整理の前後で必要に応じて進めましょう。

  • 死亡届の提出(済) – ご家族が亡くなられたら、7日以内に市区町村役場に死亡届を提出する必要があります。通常は葬儀社が代行することも多いですが、未提出の場合は速やかに行いましょう。死亡届受理後、火葬許可証が発行されます。
  • 年金受給停止の手続き – 故人が公的年金を受給していた場合、年金事務所または役所で年金受給停止の手続きが必要です。手続きを怠ると後日過払い分の返納を求められることがありますので注意してください。
  • 健康保険・介護保険等の手続き – 故人が国民健康保険や後期高齢者医療、介護保険などに加入していた場合、資格喪失の届出や保険証の返却、葬祭費の請求(該当する場合)を行います。会社員で健康保険に加入していた場合は勤務先を通じて手続きをします。
  • 銀行・証券口座の凍結と相続手続き – 故人名義の銀行口座や証券口座は、金融機関に死亡の連絡をすると一時的に凍結されます。相続人全員の同意による手続きが完了するまでは引き出しができなくなるため、通帳やカード類を見つけたら銀行に連絡しましょう。その後、相続人間での遺産分割協議書の作成や、銀行での所定の手続きを経て口座解約・名義変更を行います。
  • 保険金の請求 – 故人が生命保険や学資保険などに加入していた場合、保険会社への連絡と保険金請求の手続きをします。保険証券や契約者貸付カードなどが遺品の中から見つかったら、早めに各保険会社に問い合わせましょう。請求には死亡診断書や住民票除票、戸籍謄本、受取人の本人確認書類などが必要になるので準備します。
  • 公共料金や契約の解約 – 故人が契約者になっている電気・ガス・水道・電話・インターネット・携帯電話・新聞などの契約は、使わないものは解約手続きを行います。賃貸住宅の場合は貸主への退去連絡も早めに行いましょう。また、クレジットカードや各種会員サービスも退会・解約の手続きを忘れずにします。
  • 自動車・不動産の名義変更 – 故人名義の車がある場合は車検証の名義変更や廃車手続きを行います。不動産(家や土地)を相続する場合は、法務局で相続登記(名義変更登記)をする必要があります。司法書士や行政書士に相談するとスムーズです。
  • 遺産相続の諸手続き – 相続税の申告が必要な場合(相続財産が基礎控除額を超える場合)は、相続開始から10か月以内に税務署で申告・納税をします。該当しなくても、不動産評価や税理士への相談が必要なケースもありますので、遺産総額の概算を把握しておきましょう。
遺産分割協議

以上が主な手続きリストです。一見すると遺品整理とは直接関係ないように思えますが、遺品の中から必要書類を探し出すことや、手続きのために遺品を保管しておく必要が出てくるなど相互に関連しています。大切な書類やカード類は処分しないよう十分注意し、手続きが完了するまで整理した箱に保管しておくと安心です。


遺品整理に取り掛かる前段階として、以上のような準備と心構え、そして並行して行うべき手続きを確認しました。次は、実際の遺品の仕分け方法や処分の仕方について詳しく見ていきましょう。

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