遺品の分別方法と処分の仕方

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遺品整理を進める中で特に悩ましいのが、遺品の分別と処分の方法です。何を残し、何を手放すべきか、そして手放す物をどう処分するかは、多くの人が頭を悩ませるポイントでしょう。このページでは、遺品の上手な分け方と、それぞれの処分方法について具体的に解説します。
遺品の分別の基本ルール
遺品を整理する際は、まず「残すか・残さないか」の判断から始めます。以下の基本ルールを参考に、スムーズに分別していきましょう。
- 思い出の品は無理に捨てない – 写真アルバムや手紙、趣味の作品など、故人との思い出が詰まった品は、無理に処分する必要はありません。すべては残せなくても、アルバムを一冊にまとめたり、お気に入りの数枚だけを選んで保存するなど、コンパクトに整理する方法もあります。時間がかかるようであれば、一旦箱に保管し、気持ちが落ち着いてから改めて向き合っても良いでしょう。
- 財産的価値のあるものは保留 – 現金や貴金属、骨董品、美術品など価値のありそうなものは、すぐに捨てず一旦保留とします。専門業者に査定を依頼できるものは、後日しっかり価値を確認してから処分方法を決めましょう。知らずに捨ててしまって後悔するケースも少なくありません。
- 大量の衣類や日用品は選別 – 洋服や靴、食器やタオル類などは、全て残すのは現実的ではありません。まだ使えるもの・新品同様のものはリサイクルや寄付を検討し、傷みが激しいものや古い生活用品は処分対象と割り切ります。「誰か使うかも」と取っておくとキリがないため、基本的には処分の方向で進め、迷うものだけ少し残す程度にしましょう。
- 「いつか使う」は禁物 – 故人が愛用していた物を見ると「いつか自分が使うかも…」と思いがちですが、その“いつか”は来ないことが多いものです。特に家具や調度品、大型家電などは、自分の家に持ち帰っても置き場に困るケースがほとんどです。本当に必要かどうかを冷静に判断し、使わない可能性が高ければ感謝を込めて手放す決断も必要です。
以上を念頭に置きつつ、実際の仕分けでは「残す(形見)」「処分する」「迷う」の3つに一時分類してみて、迷うものは最後にもう一度考えるという方法も有効です。
残すもの・形見分けのコツ
残すと判断したもの、あるいは親族で形見分けする品については、散逸しないよう丁寧に扱いましょう。
- 残すものは厳選する – 全てを取っておきたい気持ちになるかもしれませんが、あとで保管場所に困らないよう、本当に大切なものだけを残すのがコツです。たとえば衣類であれば「最後に着ていた服」「思い出の写真に写っている服」など数点、趣味の品であれば代表的なものだけ、といった具合にキリよく選びます。
- 形見分けは相手の希望を聞く – アクセサリーや時計、愛用品などは、欲しいという親族がいれば形見分けとして譲ります。遠方の親族には写真を見せて選んでもらうのも良いでしょう。ただし、あまり値打ちがありすぎる物(高価な宝飾品や不動産など)は相続財産となりトラブルの元になることもあるため、慎重に扱います。親族で平等に分けるのが難しい場合は、専門家(弁護士や司法書士)に相談することも検討しましょう。
- 保管と記録 – 残す品物は湿気やホコリを避けて丁寧に保管します。写真はアルバムに入れ直し、デジタル化(スキャン)して共有しておくと安心です。また、どんなものを残したか簡単にメモを残しておくと、後で「あれはどうしたっけ?」となったときに役立ちます。

処分するものと供養が必要なもの
次に、残念ながら処分することになる遺品についてです。処分すると決めても、すぐ捨てる前に以下を確認しましょう。
- 供養が必要なものか確認 – 写真、手紙、人形、ぬいぐるみ、趣味で集めていたコレクション、仏壇・神棚など、故人が大切にしていた物や魂が宿ると考えられる物は、そのままゴミとして捨てることに抵抗を感じる方も多いでしょう。そうした品は、お寺や神社で供養(お焚き上げ)してもらうことができます。各地域の寺社では、人形供養祭や写真供養を受け付けているところがありますので問い合わせてみましょう。また、遺品整理業者に依頼する場合は、オプションで供養代行サービスがある業者を選ぶと安心です。
- リサイクルや買取を検討 – 家具・家電・衣類・本など、まだ使えるものや価値がありそうなものは、すぐに廃棄せずリサイクルショップや買取専門店に相談してみましょう。リサイクルショップでは出張買取を行っているところもあり、大量の品物でもまとめて査定してくれます。買取金額はそれほど高くなくても、次の必要とする人に使ってもらえるのは故人も喜ぶはずです。
- 寄付できるものは寄付 – 洋服、靴、タオル、食器類など、状態の良い生活用品はNPO団体や福祉施設で寄付を募集していることがあります。直接的な知り合いに譲る先がなくても、ネットで「〇〇 寄付 受け付け」等と検索すると受け入れ先が見つかるかもしれません。ただし、受け入れ可能な品目や条件が決まっている場合が多いので、事前に確認の上送りましょう。
- それでも処分するもの – 上記のいずれにも当てはまらない物、壊れている物、古すぎて使えない物などは、心を鬼にして処分します。感謝の気持ちを持って「ありがとうございました」と声に出してから処分すると、不思議と気持ちが軽くなるものです。神経質になる必要はありませんが、一区切りとして小さく手を合わせてからゴミ袋に入れる方もいます。
ゴミの出し方・処分方法の具体例
処分すると決めた遺品については、各種の方法で適切に処分しましょう。日本国内では自治体ごとにゴミ処分のルールがありますので、ルールに沿って進めます。
- 自治体の収集を利用する – 一般家庭のゴミとして処分できるものは、地域のゴミ収集日に出します。可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみ(古紙・瓶・缶・ペットボトル等)に分別し、それぞれ指定の曜日に出しましょう。粗大ごみ(大型家具・寝具・大量の衣類など)は、事前予約制で有料回収となる自治体が多いです。お住まいの自治体のホームページや「ごみ収集カレンダー」で手順を確認し、必要なら粗大ごみシールを購入して貼付します。
- 家電リサイクル法に沿った処分 – テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機といった大型家電は、家電リサイクル法という法律で処分方法が定められています。新しい製品を購入する際に古いものを引き取ってもらうか、リサイクル券を購入して指定引取場所に持ち込む必要があります。遺品整理の場合、買い替えではないので郵便局で家電リサイクル券を入手し、メーカーごとの指定引取場所へ運搬することになります。大変な場合は、自治体の粗大ごみ受付や遺品整理業者に相談すれば代行してもらえます。
- 専門業者に回収を依頼 – 自治体のルールでは処理しきれない大量のゴミや、一度に片付けたい場合は、不用品回収業者や遺品整理業者に処分を依頼する方法もあります。トラック単位でまとめて運び出してくれるため、自分達で何度もゴミを運ぶ労力が省けます。ただし、先述のように許可のある業者かどうか確認し、見積もりを取ってから依頼しましょう。悪質な回収業者による路上投棄などのトラブルも報告されていますので、信頼第一です。
- 危険物・特殊な品の処分 – 塗料、灯油、薬品類、消火器、刃物、仏壇や神具など、通常のゴミとして出せないものがあります。これらは自治体の指示に従い、専門処理が必要な場合は各専門窓口に問い合わせます。仏壇や神棚は、前述のように供養をしてから解体・処分すると安心です。

大量の遺品を処分するコツ
家一軒分の遺品となると、その量は膨大です。効率よく処分するためのコツを押さえておきましょう。
- 一度に全部出そうとしない – ゴミは各回収日に出せる量に限りがあります。無理に一度で片付けようとせず、数週間~数ヶ月かけて順に処分するくらいの余裕を持ちましょう。時間に余裕がない場合は業者の活用を検討します。
- 早めに使わない物から処理 – 冷蔵庫の生ものや仏壇など一部すぐには処理できないものを除いて、今すぐ生活に支障のないものから優先的に処分していきます。季節外れの衣類、長期間使っていない物置の品などから手を付けると、生活スペースを圧迫せず進められます。
- リサイクルと廃棄を同時並行で – 売れるかもしれない品物の査定待ちで作業が止まってしまわないよう、リサイクルに出すものとゴミに出すものを並行して仕分けましょう。リサイクル業者の見積もり日程を待つ間に、他の不用品をまとめてゴミ出しするなど段取り良く進めます。
遺品の分別と処分は労力のかかる作業ですが、一つずつ片付いていくことで心も次第に整理されていきます。自分たちでできる範囲を超えると感じたら、無理をせず専門業者の力を借りることも検討してください。