独立系エレベーター会社の対応: 多様な機種への適応力

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エレベーターリニューアルを任せる業者を選定する際、「自社のエレベーターのメーカーに対応できるか」は重要なポイントです。日本には大手エレベーターメーカー5社(三菱電機、日立製作所、東芝エレベータ、フジテック、シンドラーなど)をはじめ様々なメーカーのエレベーターが稼働しています。独立系のリニューアル業者は基本的にメーカーを問わず工事に対応できる場合がほとんどで、これがメーカー系にはない強みとなっています。

独立系は「全メーカー対応」が基本

大手独立系企業の多くは公式サイトやパンフレットで「○○エレベーター製から△△エレベーター製まで、全メーカー・全機種に対応」と謳っています。実際、独立系最大手の一つである SECエレベーター は国内全メーカー・全機種に対応可能とされ、全国で5万台以上の保守実績を持っています。同様に ジャパンエレベーターサービス(JES) も全国規模で事業を展開し、あらゆるメーカーのエレベーターに対応しています。このように、独立系で実績のある企業であれば特定メーカー製だからと断られる心配はまず無いと言って良いでしょう。

独立系が全メーカーに対応できる理由の一つは、各メーカー出身の技術者が多数在籍していることです。メーカー系では自社製品のみ扱いますが、独立系では幅広い機種の知識・ノウハウが求められるため、各社とも他社メーカーで経験を積んだエンジニアを積極的に採用しています。その結果、50年以上の長い実績を持つ独立系企業も存在し、旧式から最新式までカバーできる技術蓄積があります。

ただし、超高層ビルの超高速エレベーターや二重かご式エレベーターなど特殊なケースではメーカー系のノウハウが優る場面もあることは留意が必要です。とはいえ、オフィスビルやマンションに普及している標準的なエレベーターであれば独立系でも十分対応可能であり、むしろ最新技術(IoT遠隔監視や予兆保全など)の導入にも積極的であるため、必ずしもメーカー系だけが最先端とは限らない状況になっています。

特殊なケースではメーカー系のノウハウが優る場面もある

部品調達と互換性への対応

異なるメーカー製エレベーターを扱う上で課題となるのが部品の調達です。独立系各社は主要メーカーから純正部品を購入できるルートを確保しており、「部品が入手できず修理できない」という事態はほとんどありません。例えば 東京エレベーター株式会社 はメーカーからスムーズに純正部品を購入するルートを持ち、多種多様な部品を在庫していると公表しています。また SECエレベーター は全国に150拠点以上のサービス網と豊富な部品在庫を備え、緊急時にも迅速な修理対応を実現しています。

万一メーカー側が製造中止した部品であっても、独立系は互換品や再生品の活用、他社製部品を用いた代替改修(例えば古い制御盤を汎用制御盤に載せ替える等)によって対応できるケースが多々あります。実際、メーカーから「〇年で部品供給終了」の通達が来たエレベーターでも、独立系に相談することで適正な価格で必要部品を確保しリニューアル工事を実現した例があります。

過去にはメーカーが独立系への部品供給を渋るといった問題も指摘されましたが、裁判で独立系側が勝訴した判例もあり、現在ではメーカーが部品提供を拒むことはなくなっています。制御ソフトウェアの更新(リコール相当)もメーカーから独立系へ提供されるため、安全対策が受けられなくなる心配もありません。部品調達に関しては、もはや独立系だからリスクが高いということはなく、各業者の体制次第と言えるでしょう。

管理会社が押さえておくべきポイント

対応メーカーに関して管理会社側で注目すべき点を整理します。

自社エレベーターのメーカー確認

現在設置されているエレベーターのメーカー・機種を把握します。その上で候補の独立系業者がそのメーカーの工事実績を持つか確認しましょう。大手独立系であればほぼ問題ありませんが、地方の中小独立系の場合は実績確認が安心です。

特殊仕様への対応力

パノラマエレベーターや高速エレベーターなど特殊仕様の場合、独立系各社でも対応可否が分かれることがあります。見積依頼時に具体的な機種情報を伝え、対応経験があるか聞いてみましょう。

互換部品の活用可否

老朽化が進みメーカー純正部品が入手困難な場合に、互換品やリビルド品で対応する提案力があるかもポイントです。独立系の中には自社で電子基板の修理や部品リビルドを手掛けているところもあります。

メーカー系への保守復帰

前述の通り、一度独立系で非純正部品を使った改修を行うと、そのままではメーカー系保守会社が受け入れてくれない場合があります。将来的にメーカー保守に戻す予定があるかどうかも踏まえ、業者選定時に方針を立てましょう(もっとも近年は独立系の品質向上によりメーカーへ戻す必要性は低い傾向です)。

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