【BCP・災害対応編】独立系で備える地震・停電・火災時の運用設計

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リニューアルで強化すべき安全装置と機能

日本は地震大国であり、また台風や豪雨など自然災害による停電も発生し得る環境です。エレベーターに求められる安全機能も年々高度化しており、リニューアル工事は最新の安全基準に適合させる絶好の機会となります。特に以下のような装置・機能は、古いエレベーターには未設置の場合があるため、リニューアル時に追加導入を検討すべき重要項目です。

  • 戸開走行保護装置(UCMP装置):エレベーターの扉が開いたまま動き出すという重大事故を防止する装置です。これは国土交通省の基準改定(2009年・2014年)で新設エレベーターには義務化された安全装置ですが、古い既存機には未設置の場合があります。リニューアル時には必ず追加することが推奨されます。
  • 地震時管制運転装置:地震を感知するとエレベーターを最寄階に停止させ、乗客を安全に避難させるための装置です。大地震発生時の閉じ込めリスクを大幅に低減します。こちらも平成20年代以降のエレベーターでは標準装備ですが、古い機種では未対応のケースがあります。独立系のエレテック社などは、リニューアル工事に合わせて地震時管制運転装置の追加提案を積極的に行っています。独立系各社は独自ルートで在庫品・汎用部品を確保することで、メーカーから供給停止となった旧型機種にもこの装置を後付け可能としています。実際、メーカーから「地震対策不可」と言われた機種でも、独立系の検討により適正価格で地震管制運転を導入し、運用延命できた例があります。
  • 非常用予備電源装置:停電が発生した際、かご内の乗客を閉じ込めないよう非常電源で最寄階まで自動着床させる装置です。バッテリー式や非常発電機連動型があります。特に地震時は停電を伴う場合が多いため、「地震時管制運転+非常電源」セットで導入することで災害時の安全性が飛躍的に向上します。独立系各社でもこうした非常時運転への対応を重視しており、日新電子サービス(Nissin Safety)などは「予備電源を備えた地震管制運転装置」の導入を推奨しています。
  • 火災時非常運転:建物で火災が発生した際、エレベーターを避難用途に使わない・閉じ込められないようにする制御です。具体的には火災報知器と連動して最下階に停止・待機する「非常階直通運転」モードや、消防隊が操作できる「消防員運転」モードがあります。これも現行法規に適合するようリニューアル時に更新しておきたい機能です。
  • 遠隔監視・非常通報システム:24時間体制でエレベーターの異常を監視し、停電や地震発生直後に自動通報する仕組みです。閉じ込め事故が起きた際の迅速救出にもつながります。独立系大手のJESは自社開発の遠隔監視システム「PRIME」を導入し、異常を即時把握して緊急対応部隊を迅速に派遣できる体制を整えています。災害時でも通信回線が生きていれば早期復旧に役立つでしょう。

以上のような安全機能強化は、エレベーターの既存不適格是正にもつながります。耐震基準や安全装置の法改正によって古いエレベーターが現行法に適合していない状態(既存不適格)であっても、リニューアル工事でこうした装置を追加すれば、安全性向上とともに法的適合性も高まります。管理組合としても安心材料が増えるため、多少費用が増えても導入を検討すべき項目です。

独立系企業ならではの防災提案と対応力

大手メーカー系は自社製品以外への改修提案に消極的な場合がありますが、独立系であれば機種を問わず快く対応してくれる点が心強いメリットです。例えば、メーカーから部品供給終了と案内されたエレベーターでも、独立系各社を比較検討することで適切な価格でリニューアル工事を実現し、運用延命できたマンション事例があります。その際、独立系各社は地震対策や避難対策も含めて総合的に提案してくれるため、最新の安全機能を盛り込んだ計画を立てやすいのです。

また、独立系には全国規模のサービス網を持つ会社もあり、災害時の対応力にも優れます。例えばSECエレベーターやJESなどは全国に拠点・サービスマンを配置し、万一大地震が発生しても被災地域へ応援要員を派遣できる体制を整えています。独立系による保守・リモート監視への切り替え後も重大事故は起きておらず、安全性も確保できているとの調査結果もあります。要は、信頼できる独立系業者を選定すれば、品質面で問題なくリニューアル可能であり、災害対応面でも十分なサービスが受けられるということです。

具体的な独立系企業の防災提案例としては、エレテック社が耐震補強工事(昇降路やガイドレールの強化)や地震時自動診断機能の付加などをオプション提案しているケースがあります。また日本エレベータ管理(独立系)では、既設部材に対する耐震施工を実施し、様々なエレベータータイプの地震対策を提供できるとうたっています。このように独立系各社は最新技術の積極導入他社旧式機種への柔軟対応によって、メーカー系では実現しにくい災害対策工事も実現してくれます。

BCP視点のエレベーター運用設計

エレベーターは高層住宅やオフィスビルのライフラインの一部です。事業継続計画(BCP)の観点からも、災害時にエレベーターをどう運用・復旧させるかを計画しておく必要があります。

リニューアル段階でハード面の対策を講じることに加え、ソフト面の計画も重要です。例えば以下のような運用設計を検討しましょう。

  • 非常時マニュアルの整備: 地震発生時や停電発生時に、管理会社や管理人が取るべき対応手順を明文化します。エレベーターが停止した際の乗客救出手順(まずインターホンで状況確認→緊急連絡→可能なら非常用鍵で開扉etc)や、独立系保守会社への通報ルートを定めます。
  • 非常用電源の確認: 自家発電設備があるビルでは、エレベーターを非常電源に接続することで一定時間稼働可能です。リニューアル時にその連動設定を組み込んでもらい、停電後○分後に自動復旧する、といった設計も可能です。非常電源が無い場合でも前述の予備電源装置により最低限の避難運転を確保します。
  • 定期訓練: 年に一度はエレベーター停止を想定した避難誘導訓練レスキュー訓練を行います。独立系保守会社に依頼すれば、協力して訓練を実施してくれることもあります。非常用鍵の使い方、手動でのかご移動方法などをあらかじめ知っておくと緊急時に役立ちます。
  • アフター地震の点検計画: 震度5強以上の地震後は、エレベーターの安全点検が完了するまで運転再開しないのが原則です。独立系業者と契約している場合、優先的に駆けつけて点検・復旧してもらえるよう、事前に緊急対応契約を結んでおくと安心です(24時間緊急対応サービスに加入する、など)。

これらの計画を通じ、災害に対するレジリエンス(復元力)を高めておきましょう。独立系エレベーター会社は柔軟かつ親身に対応してくれるところが多く、管理会社との連携でBCP策定にも協力してもらえるはずです。

運用設計

まとめ:災害に強いエレベーターへ

エレベーターのリニューアルは、安全装置の強化と災害対応力アップのチャンスです。独立系企業に依頼することで、戸開走行保護装置や地震時管制運転装置、非常電源など最新の防災機能を柔軟に導入でき、古いエレベーターでも現代の安全基準に近づけることが可能です。また独立系各社の全国対応力や迅速な緊急対応サービスによって、地震・停電時の早期復旧体制も整えることができます。

管理会社としては、ハード面の対策に加えてソフト面の運用計画も策定し、災害に強いエレベーター運用を目指しましょう。エレベーターは人命にも関わる設備だけに、万全の備えをしておくに越したことはありません。

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