【費用・見積り編】独立系で賢く進めるエレベーターリニューアルの予算設計

エレベーターリニューアル費用の基本と相場
エレベーターのリニューアル(改修工事)には多額の費用が伴います。一般的なマンション用エレベーター1基あたりのリニューアル費用は約500万円~1,000万円が目安とされます。具体的な金額は工事方式や仕様、耐震補強の有無によって変動し、制御盤のみ交換する部分リニューアルからエレベーター設備を全て新調する全撤去リニューアルまで、工事範囲によって大きく異なります。例えば、制御盤と巻上機を交換する「制御リニューアル」であれば費用を抑えられ、1基あたり500万円程度から可能ですが、かご(乗籠)や昇降路設備も含め全面的に交換する工事では1,500万円以上かかるケースもあります。まずは自社物件のエレベーターの規模・老朽度に応じた適切な工事範囲を見極め、概算の費用感を把握しておきましょう。
また、費用検討にあたってはリニューアル後の保守費用も考慮する必要があります。エレベーターはリニューアルして機械が新しくなると故障頻度が下がるため、リニューアル後の保守料金が下がる可能性があります。実際にフルメンテナンス契約が可能になることで月額保守費用が20〜30%程度減額できた事例も報告されています。リニューアル費用の捻出が大きな投資となる分、将来的な維持費削減効果も予算計画に織り込んで検討しましょう。
独立系活用で実現するコストダウン
エレベーターリニューアルの費用を最適化する上で、独立系エレベーター会社の活用は大きなメリットとなります。独立系とは、三菱電機や日立製作所など大手メーカー系列ではないエレベーター保守・工事会社のことです。メーカー系は品質や信頼性の面で安心感がありますが、その見積もり金額は高額になりがちです。一方で独立系に依頼すれば競争原理が働き、メーカー系より30~40%程度費用を抑えられるケースが多いとされています。独占禁止法の規制強化により部品供給も独立系に開放された現在、適切な独立系業者を選べば品質面でも問題なくリニューアルが可能です。
実際、独立系数社から相見積もりを取って比較することで、当初メーカー系で提示された費用から数百万円以上のコストダウンに成功した例もあります。例えばあるマンションでは、メーカー系から提示された2基分1,500万円の制御盤交換工事費用を、独立系各社の競争入札により約1,200万円まで圧縮し、さらに保守料金も20%減額できたケースがあります。このように独立系をうまく活用すれば、管理組合・オーナーにとって大きなコストメリットが期待できるのです。
独立系が安価にできる理由として、市場競争による適正価格化があります。かつてメーカー系が市場を独占していた時代は価格競争が働かず保守・改修費用は高止まりしていましたが、独立系の参入で市場原理が働き価格が是正されました。また独立系は自社で開発・製造コストを抱えていない分、価格優位性を出せる面もあります。さらに顧客獲得のためメーカー系より積極的に安い見積もりを提示する傾向もあり、結果として安価な提案が得られやすいのです。
もちろん価格だけでなく提案内容や技術力も含めて総合的に判断する必要はありますが、予算重視であれば独立系から必ず見積りを取得することが賢明です。メーカー系1社のみの提案で決めてしまうと、本来得られたかもしれない大幅なコストダウンの機会を逃す可能性があります。

見積り取得と比較検討のポイント
適切な予算設計のためには、複数社からの見積り取得とその比較検討が欠かせません。管理会社としてオーナーに最良の提案をするためにも、相見積りにより市場相場を把握し、最適なプランを選定しましょう。
見積りを依頼する際のポイントとして、まず各社に統一した条件・仕様で依頼することが重要です。こちらから工事仕様を明確に提示しないと、各社ばらばらの前提条件で見積もりを作成してしまい、公平な比較が困難になります。実際、現在契約中の保守会社(メーカー系)に見積りを依頼すると、他社との競合見積りを嫌がって断られる場合もありますが、依頼できた場合でも自社に有利な仕様で高めの価格を提示してくることが多いようです。そうした中で独立系各社にも見積り参加してもらうには、現行保守会社が提示した見積仕様書をベースに各社共通の仕様書を作成することが有効です。共通仕様に基づいた見積り依頼により、各社で価格と内容を正当に比較できる土俵を整えることができます。
見積り依頼の際には、以下の点を事前に整理・提示しておくと良いでしょう。
- 現況情報: エレベーターの設置年、型式(ロープ式/油圧式など)、定員・積載、停止階数、現在の不具合状況など基本データ。
- 希望工事範囲: 制御盤や巻上機の交換範囲、内装(意匠)の更新有無、戸閉センサーやインターホンなど安全装置の追加希望など。
- 性能要件: 将来的に20年程度使用することを見据えた信頼性向上、可能なら省エネ化(インバータ化やLED照明への変更)など、オーナー側の要望。
- 工期・停止期間: 入居者への影響を考慮し、停止期間の上限や作業時間帯の制約(例:夜間作業可否、休日工事可否)など。
- 予算目安: 管理組合で確保している概算予算があればレンジを提示。難しい場合は費用重視か品質重視かといったスタンスだけでも共有。
- アフターサービス要件: リニューアル後の保証期間や、工事後の保守契約について希望条件があれば提示(例:工事後○年間の主要部品保証が欲しい等)。
- 見積提出の形式: できれば項目別内訳を明記してもらい、後述の比較表にまとめやすい形にします。例えば「制御盤」「巻上機」「内装」「付帯工事(足場等)」といった区分や、保証・保守契約費用の有無などを項目立てしてもらうよう依頼します。
こうした情報を盛り込んだ提案依頼書(RFP)を作成し、独立系を含む複数社へ送付しましょう。共通のフォーマットで見積りを集めることで、価格比較だけでなく提案内容(仕様)の違いも可視化しやすくなります。例えばある社は安価だが耐震補強の提案が含まれていない、一方別の社は価格は高めだが最新の地震時管制運転装置を提案している、等の差異が把握できます。その上で管理組合やオーナーと相談し、「本当に必要な仕様か?不要なものはないか?」を精査することでコストと内容のバランスを取った最適案を選定できるでしょう。
賢い予算設計のまとめ
エレベーターリニューアルの予算設計では、相場を把握しつつ独立系を活用した複数見積り比較が鍵となります。初期費用は高額ですが、独立系ならではの競争力ある価格提案によりメーカー系より数割安く抑えられる可能性があります。見積り取得時には各社共通の仕様書を用いて公平な比較検討を行い、仕様漏れや不要な工事を省くことでコスト最適化を図りましょう。その際、価格だけでなく保証やアフターサービス内容も含めて総合評価することが重要です。管理会社としてオーナーに提案する際は、単に最安値を選ぶのではなく「費用対効果」の観点で説明できると理想的です。














