エレベーターリニューアルで地震対策・停電対応を強化しよう!安全機能アップのポイント

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日本は地震大国であり、また台風や豪雨による停電も発生しがちな環境です。マンションやビルのエレベーターが災害時に安全に動作・停止できるかは、入居者の生命と直結する重要事項と言えます。古いエレベーターでは充分な地震対策機能や停電時対策が備わっていないケースも少なくありません。そこで本記事では、エレベーターリニューアルによって実現できる地震対策・停電対応の強化策について解説します。マンション管理組合やオーナーの方は、災害時のリスク低減と安全向上のためにぜひご一読ください。

古いエレベーターの課題:地震・停電時のリスク

築年数が経過した建物に設置されたエレベーターでは、現在の安全基準を満たさない古い仕様のまま使われている場合があります。具体的な課題として、以下のような点が挙げられます。

  • 地震発生時の危険: 初期の地震ではエレベーターが通常運転を続け、大きな揺れ(主要動)で急停止・閉じ込めが発生するリスクがあります。古い機種には地震検知センサーがなく、揺れに対する自動避難運転機能(地震時管制運転)が未搭載のものもあります。
  • 停電時の閉じ込め: 非常用電源やバッテリーがないエレベーターは、停電になるとその場で停止し、乗客が籠内に閉じ込められる恐れがあります。特に長時間停電では救出に時間がかかり、熱中症など健康被害のリスクも。
  • 戸開走行の事故: 古いエレベーターでは戸開走行保護装置(ドアが開いたまま動き出すのを防ぐ装置)が義務化前で未設置の場合があります。万一制御の不具合でドア開放中にエレベーターが動くと重大事故につながります。
  • 耐震補強不足: 機械室や昇降路内の機器類が旧い耐震基準のままだと、大地震で固定が緩み機器が脱落・破損するリスクがあります。特に釣合おもり(カウンターウェイト)が脱落すると大事故に至る可能性があるため、後述する耐震補強工事が推奨されています。

以上のように、1970~80年代製造のエレベーターなど古い設備では、現在の安全基準から見ると不十分な点が散見されます。居住者の安心のためには、リニューアル工事で最新の安全機能を追加・強化することが重要です。

リニューアルで導入できる主な安全装置・機能

エレベーターリニューアルを行うことで、地震対策停電対応に関する次のような安全機能を後付け・アップグレードすることが可能です。

  • 地震時管制運転装置(地震感知器)
    エレベーターの昇降路等にセンサーを設置し、地震の初期微動(P波)または主要動(S波)を感知すると自動的に最寄階に停止・ドア開放させる装置です。これにより揺れが大きくなる前に乗客を安全に避難させ、閉じ込めや急停止のリスクを低減します。日立や東芝など各社から後付け用センサーが提供されており、マンション向け改修の定番オプションとなっています。自治体の補助金でもP波感知型地震管制運転装置は対象経費に含まれることが多く、導入促進が図られています。
  • 停電時自動着床装置(非常用バッテリー駆動装置)
    突然の停電が起きた際、非常用バッテリー電源に切り替えてエレベーターを最寄り階まで自動走行させ、ドアを開くための装置です。この機能により、停電時でも乗客がかご内に閉じ込められるのを防止できます。独立系・メーカー系を問わず後付け可能であり、こちらも多くの自治体補助で「停電時着床装置」として設置費用の助成対象になっています。バッテリーは一般的に数年ごとの交換が必要ですが、非常時の安全確保には不可欠な設備です。
  • 戸開走行保護装置(DOPA装置)
    エレベーターの扉が完全に閉まっていないときは駆動モーターへの動力を遮断し、エレベーターが動かないようにする安全装置です。万一の誤動作による開扉中のエレベーター走行事故を防ぐ役割を果たします。1990年代以降に義務化され、新設エレベーターには標準搭載されていますが、それ以前の古い機種ではリニューアル時に追加設置が推奨されています。自治体によってはこの装置を付ける改修に対し助成金を出す例(千代田区など)もあります。
  • 昇降路構造の耐震補強
    エレベーター機械室内や昇降路内の各種機器・ガイドレールなどを、最新の耐震基準に沿って補強します。具体的には、制御盤をワイヤーで壁と緊結し転倒防止する措置や、巻上機にロープ外れ止め装置を付けるなどが1998年基準(阪神淡路大震災を契機に導入)で求められています。さらに2009年基準では昇降路内のガイドレールやブラケット(取付金具)、釣合おもりの脱落防止対策など、より広範囲の補強が必要となりました。最新の2014年基準では非常に厳格な内容となり、一部メーカー系でしか対応できない高度な補強も含まれます。リニューアル工事では、この耐震グレードをどこまで適用するかを選択する形になりますが、少なくとも1998年相当の耐震対策は最低ラインとして実施するケースが多いようです。費用との兼ね合いになりますが、専門家と相談しながら必要十分な補強計画を立てましょう。

これらの安全機能は単独でも効果がありますが、複合的に導入することで災害時の安全性が飛躍的に向上します。例えば地震感知器+予備電源装置の組み合わせであれば、地震時に最寄階停止→停電発生でもドア開放、と一連の動作で乗客を確実に避難させられます。各マンションで現在不足している機能を洗い出し、リニューアル時にまとめて導入するのがおすすめです。

リニューアルで導入できる主な安全装置・機能

安全機能強化のメリットと居住者への効果

エレベーターの地震・停電対策を強化することは、居住者やビル利用者にとって次のようなメリットがあります。

  • 災害時の人命安全確保: 最も重要なのは閉じ込めや転落などの重大事故防止です。地震や停電の際、エレベーター内に人が取り残される不安がなくなることで、高層階に住む高齢者や障がい者の方も安心です。特に夜間や長時間の停電時でも自動着床装置により速やかに救出できれば、パニックや健康被害を避けられます。
  • 迅速な避難と二次被害防止: 地震感知器でエレベーターを停止させることにより、揺れによるかごの暴走や壁衝突を防ぐとともに、乗客が早く避難できるため建物内の他の安全確保(火の始末等)にもつながります。また扉保護装置で乗場への転落事故も未然に防げます。
  • 居住者への安心感向上: 「うちのマンションのエレベーターは古いけど大丈夫か」という不安を払拭できます。防災対策がしっかりされたエレベーターはマンションの付加価値にもなり、資産価値や入居者満足度の向上につながります。
  • 行政からの支援活用: これら安全機能の追加工事には前述のように自治体の補助金が利用できる場合があります。結果的に少ない負担で設備アップグレードが可能です。補助を受けた工事は行政のお墨付きとも言えるので、居住者への説明もしやすいでしょう。

なお、リニューアル工事では一時的にエレベーターを停止する必要がありますが、安全性向上の意義を理解してもらうために事前周知と協力依頼を十分に行うことも大切です。停電・地震対策装置の設置工事自体は比較的短期間(数日程度)で完了するケースが多いので、計画段階で施工業者と調整し、住民負担が最小になるスケジュールを組みましょう。

独立系企業による柔軟な防災改修の提案

エレベーターの安全機能向上を図るリニューアル工事は、メーカー系・独立系のいずれの業者でも対応可能です。しかし独立系企業に依頼するメリットとして、現場事情に即した柔軟な提案最新技術の積極導入が挙げられます。

独立系の多くは様々なメーカー機種に対応してきた経験から、古いエレベーターへの後付け改修ノウハウを豊富に持っています。また、メーカー系では標準対応していないピンポイントの安全装置追加工事なども柔軟に検討してくれる場合があります。「制御盤はそのままでセンサー類だけ追加したい」といった要望にも応えてくれる可能性があります。さらに独立系各社は競争の中で専用治具や工法を工夫し、工事効率を上げる取り組みもしており、結果的に短い工期・低コストで防災改修を実現できるケースもあるでしょう。

もちろん重要なのは、確かな技術力と実績を持つ業者を選ぶことです。地震対策工事や安全装置設置の施工経験が豊富な会社であれば、安心して任せられます。独立系・メーカー系を問わず複数社から計画提案を受け、内容と見積もりを比較検討することをおすすめします。

災害に強いエレベーターは、建物全体の安全性・信頼性を支える生命線です。エレベーターリニューアルを機に、ぜひ地震・停電対策の強化をご検討ください。最新の安全装置を備えたエレベーターは、万一の際に入居者の命と暮らしを守ってくれることでしょう。

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