一般建設業と特定建設業は何が違う?メリット・要件・上限金額も比較!

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一般建設業と特定建設業の違いは何でしょうか。本記事では建設業法に基づく2つのカテゴリーの特徴、要件、適用範囲を詳細に解説します。事業規模や要件に応じた適切な許可を取得したい業者や、建設業界に関心がある方は必見です!

一般建設業と特定建設業の違い

一般建設業と特定建設業の主な違い
一般建設業と特定建設業の主な違い

建設業法に基づく建設業の分類は、「一般建設業」と「特定建設業」という2つのカテゴリーに分けられます。

これらのカテゴリーは、許可基準と業務の範囲に違いがあります

一般建設業は小から中規模のプロジェクトに対応し、特定建設業は大規模プロジェクトまたは技術的に要求される高度な工事を手掛けることができる許可を持つ事業者に限られます。

以下に、その主な一般建設業と特定建設業の違いを簡単に説明します。

許可の基準

【一般建設業】

一般建設業の許可を受けるためには、都道府県知事からの許可が必要です。

許可を受けるための基本的な要件には、

  • 資本金や出資金の最低限度額(種類により異なる)
  • 事業を営むための設備が整っていること
  • 建設業に関連する適切な経験と知識を持つ管理責任者がいること

があります。

これらの要件は比較的緩やかであり、中小規模の事業者でも参入しやすいのが特徴です。

【特定建設業】

特定建設業の許可は国土交通大臣からの許可が必要とされ、より厳格な基準が設けられています。

許可を受けるための基本的な要件には、

  • 資本金の最低限度額が一般建設業よりも高く設定されている
  • 高度な技術力と専門知識を有する技術者を雇用していること
  • 過去の工事実績が一定規模以上であること

があります。

特定建設業の許可を持つ企業は大規模なプロジェクトや技術的に難易度の高い工事を請け負うことが可能。

それに伴う高い利益を期待できるため、厳しい基準が設けられています。

事業規模

建設業の事業規模は、許可の種類によって大きく異なります。ここでは一般建設業と特定建設業の許可を持つ事業者が手掛けることができる工事の規模について解説します。

【一般建設業】

一般建設業の許可を持つ事業者は、主に小規模から中規模の建設プロジェクトに関わることができます。これには住宅建設、小さな商業施設の建設、地域内の道路や橋梁の改修などが含まれます。

一般建設業の許可では、特定の工事に関して請け負うことができる金額に制限があり、それによってプロジェクトの規模が自然と制限されることになります。

【特定建設業】

特定建設業の許可を持つ事業者は、一般建設業の許可を持つ事業者に比べてはるかに大規模なプロジェクトを手掛けることが可能です。このカテゴリーには大型商業施設の建設、大規模なインフラプロジェクト(高速道路、ダム、空港など)、そして高層ビルや複雑な工業施設の建設が含まれます。

特定建設業の許可を持つ事業者は、大きな資本と技術力を背景に、高度な建設技術を要求されるプロジェクトに対応することができます。

このように、一般建設業と特定建設業では扱うことができるプロジェクトの規模が明確に異なります。事業者はそれぞれの許可に応じたプロジェクトを選び、それに適した技術力や資金力を備えている必要があります。

資本金や経営基盤

建設業における資本金や経営基盤の要件は、事業者が持つ許可の種類に応じて異なります。これらの要件は、事業の安定性と信頼性を確保し、大きな財務リスクに耐えうる能力があるかを示す重要な指標です。

【一般建設業】

一般建設業の許可を得るためには最低限の資本金が必要ですが、これは比較的低額に設定されており、中小企業が参入しやすいようになっています。

具体的な最低資本金の額は事業の種類によって異なりますが、例えば建築工事業であれば500万円からの資本金が求められる場合が多いです。

経営基盤については、適切な設備や事務所の存在、安定した経営状態が求められますが、大規模事業者に比べると要求されるレベルは低めです。

【特定建設業】

特定建設業の許可を得るにははるかに高額な資本金が必要で、その額は数千万円から億単位に上ることがあります。

また、高度な技術力を持つ専門的な人材や、大規模な設備投資が可能な経営基盤が求められるため、これらを維持するための持続可能な経営戦略も重要です。

技術力や人材

建設業における技術力と人材の質は、事業の成功に直接影響を与える重要な要素です。許可の種類に応じて必要とされる技術力や人材の水準も異なります。

【一般建設業】

一般建設業では、必要とされる技術力は比較的基本的なレベルから始まりますが、それでも安全で質の高い建設作業を行うための専門知識が求められます。

一般建設業の許可を持つ事業者は、少なくとも一人の建設業法に定められた資格を持つ専門技術者(例:一級建築士、一級土木施工管理技士など)を管理者として配置する必要があります。これにより、プロジェクトの各段階で適切な技術的判断が行えるようにし、品質と安全性を保証します。

【特定建設業】

特定建設業では、より高度な技術力と専門知識が求められます。大規模なプロジェクトや技術的に複雑な作業を安全に完遂するためには、高いレベルの専門技術と豊富な経験を持つ人材が不可欠です。

特定建設業の許可を持つ企業は、複数の高度な資格を持つ技術者を雇用し、特化した分野(例:高層ビル建設、大規模土木工事、特殊な建築技術など)でのプロジェクトを管理します。

これらの一般建設業と特定建設業の違いを考慮して、業者は自身の事業の規模や目的に合わせて、一般建設業の許可を取得するか、特定建設業の許可を取得するかを選択することになります。

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特定建設業のメリットとは?

建設業許可(特定建設業)のメリットとは
建設業許可(特定建設業)のメリットとは

特定建設業の許可を持つ事業者は、多くのメリットを享受することができます。この許可は事業者が大規模なプロジェクトや技術的に高度な工事に参加する能力を示し、競争上の優位性を提供します。以下に、特定建設業の主なメリットを詳しく説明します。

大規模プロジェクトの受注機会

特定建設業の許可を持つ事業者は、大型のインフラプロジェクトや公共工事、高層ビル建設など、規模が大きく利益率の高いプロジェクトへの参加が可能です。これらのプロジェクトは一般的に安定した収入源となり、企業の成長を促進します。

信頼性とブランド価値の向上

特定建設業の許可は、高度な技術力と経営能力があることの証となります。これにより、顧客や取引先からの信頼が増し、企業のブランド価値が向上します。信頼性が高いと評価されることで、新たなビジネスチャンスが生まれることもあります。

高度な技術の習得と技術革新

特定建設業のプロジェクトは、技術的に複雑で革新的なソリューションが求められることが多いです。これにより、事業者は最新の建設技術や方法を習得し、業界内での技術リーダーとしての地位を確立することができます。

資金調達の容易さ

大規模プロジェクトへの参加は、金融機関からの資金調達を容易にします。事業の規模と安定した契約実績が信用力となり、より有利な条件での融資が期待できることがあります。

これらのメリットにより、特定建設業の許可を持つ事業者は建設業界において強固な地位を築くことができ、持続可能な成長と発展を実現する可能性が高まります。

特定建設業のデメリットとは?

建設業許可(特定建設業)のデメリットとは?
建設業許可(特定建設業)のデメリットとは?

特定建設業の許可を持つ事業者には多くのメリットがありますが、それに伴うデメリットも存在します。これらのデメリットは、事業の規模が大きくなるにつれて顕著になることがあり、注意深い管理と戦略的な対応が求められます。

以下に、特定建設業の主なデメリットを説明します。

高い許可基準と維持コスト

特定建設業の許可を取得するためには、高額な資本金が必要であり、専門的な技術者の雇用や高度な設備投資も求められます。これにより初期投資が大きく、また許可を維持するための継続的なコストもかかります。

この高い運営コストは、市場が低迷する時には財務的な圧力になる可能性があります。

経営の複雑化

大規模プロジェクトを扱うことで、事業の管理が複雑になります。多くのステークホルダーが関与することや、プロジェクトのスケールが大きいため、経営資源の配分やリスク管理がより緻密で複雑なものになります。

市場の変動への影響

特定建設業は大規模プロジェクトに依存しているため、経済の変動に大きく影響されます。景気の低迷や公共投資の減少は直接的に事業の収益に影響を与え、大規模なプロジェクトが停滞またはキャンセルされるリスクがあります。

競争の激化

大規模なプロジェクトは限られており、特定建設業の許可を持つ企業間での競争は非常に激しいです。この高い競争環境は、価格競争を引き起こすことがあり、利益率の低下につながることもあります。

規制の厳格化

特定建設業は、環境保護や労働安全の規制がより厳格に適用されることが多く、これらの規制に適応するための追加的なコストや労力が必要です。規制の変更に柔軟に対応する必要があり、これが経営に追加的な負担をもたらすこともあります。

これらのデメリットは、特定建設業の事業者が戦略的に対処しなければならない課題ですが、適切に管理されることで、それでもなお事業は大きな成功を収める可能性があります。

一般建設業のメリットとは?

一般建設業の許可を持つ事業者にも、多くのメリットがあります。特に中小企業やスタートアップにとって、一般建設業の許可はビジネスを展開しやすい環境を提供します。以下に、一般建設業の主な利点を挙げてみます。

取得のハードルが低い

一般建設業の許可を取得するための資本金や経営基盤の要件が比較的低いため、新規参入が容易です。これにより、小規模事業者や新たに事業を立ち上げたい企業にとって、市場へのアクセスがしやすくなります。

地域社会への密着

一般建設業の事業者は、地域内での小規模から中規模のプロジェクトに多く関与します。これにより、地元の顧客と密接な関係を築き、地域社会に貢献することができます。また、地域に根ざした事業展開は顧客の信頼を得やすく、安定した収入源を確保しやすいです。

運営の柔軟性

一般建設業の事業者は、大企業に比べて運営が柔軟であることが多く、変化に迅速に対応することができます。小規模な組織であることから、意思決定が速く、顧客のニーズに合わせたカスタマイズがしやすいという利点があります。

多様な事業機会

小規模から中規模の工事を扱うことができるため、住宅建設、リノベーション、地域のインフラ整備など、多様なプロジェクトに対応可能です。これにより、市場の変動に強い多角的な事業展開を行うことができます。

一般建設業のデメリットとは?

一般建設業の許可を持つ事業者も、いくつかのデメリットに直面することがあります。これらは特に小規模から中規模の事業者が遭遇する可能性がある課題です。

プロジェクト規模の限定

一般建設業の許可では、扱うことができるプロジェクトの規模が限定されます。これにより、大規模かつ高利益のプロジェクトへの参加が困難になるため、収益の上限が比較的低くなりがちです。

資金調達の難しさ

小規模事業者は、しばしば資金調達が困難です。銀行や金融機関からの融資を受ける際に、一般建設業の許可だけでは十分な信用力がないと見なされることがあります。これが事業拡大の障壁となることがあります。

競争の激しさ

一般建設業の市場は参入障壁が低いため、多くの企業が存在し競争が非常に激しいです。このため、価格競争が起こりやすく、利益率の圧縮につながることがあります。

技術進歩への対応

小規模事業者は、技術の進歩や新しい建設技術の導入に追随するための資源が限られていることがあります。これにより、新しい市場の機会を逃すことがあると同時に、技術的な遅れが発生する可能性があります。

市場の変動への影響

一般建設業の事業者は市場の変動に弱い場合があります。経済的な不安定さや地域的な建設需要の変動は、直接的に事業の収益に影響を与えます。特に経済が低迷する期間は、プロジェクトの数が減少し、収入が不安定になることがあります。

これらのデメリットがあるものの、一般建設業の許可を持つ事業者は適応力と柔軟性を活かして、地域市場でのニッチを見つけ、安定した事業を維持することができることが多いです。小規模事業者がこれらの課題を克服し、持続可能な成長を達成するためには、市場の動向を注視し、適切な戦略を立てることが重要です。

特定建設業の許可を取得するための要件は?

建設業許可(特定建設業)の許可を取得するための要件
建設業許可(特定建設業)の許可を取得するための要件

特定建設業の許可を取得するためには、一般建設業よりも厳しい要件を満たす必要があります。これは事業者が大規模なプロジェクトや技術的に高度な工事を安全かつ効率的に遂行できる能力があることを確認するためです。

以下に、特定建設業の許可を取得するための主な要件を挙げます。

資本金及び経営基盤

特定建設業の許可を受けるためには、企業は大規模な資本金を保持している必要があります。資本金の最低限度額は建設業の種類によって異なりますが、数千万円から1億円以上が一般的です。また、安定した経営基盤や十分な設備が必要とされます。

技術力及び技術者の資格

特定建設業の許可を得るためには、一定数以上の資格を持つ専門技術者を雇用する必要があります。例えば、一級建築士や一級土木施工管理技士などの高度な技術資格を持つ人材が必要です。これらの技術者は、プロジェクトの計画、実施、監督を適切に行う能力が求められます。

実績及び経験

企業が過去に手がけた建設プロジェクトの実績も評価されます。特に、大規模なプロジェクトや特殊な技術を要する工事の成功事例がある場合、許可の取得が有利になります。

法令遵守

建設業法をはじめとする関連法令の遵守状況も重要な評価基準です。過去に法令違反がないこと、または違反があった場合にそれが適切に解決されたかどうかがチェックされます。

経営体制及び内部管理体制

効果的な経営体制と内部管理体制を有していることも必要です。これには、安全管理、品質管理、労務管理などが適切に行われているかが含まれます。

これらの要件は、特定建設業の許可を申請する際に国土交通大臣から詳細に審査されます。許可を受けることで、事業者は大規模な建設プロジェクトへの参加資格を得るとともに、市場での競争力を高めることができます。

一般建設業の許可を取得するための要件は?

建設業許可(一般建設業)許可の要件
建設業許可(一般建設業)許可の要件

一般建設業の許可を取得するためには、特定建設業に比べて比較的緩和された要件が設定されていますが、それでも一定の基準を満たす必要があります。

以下に、一般建設業の許可を取得するための主な要件を挙げますが、具体的な内容や最新の情報については関連法令や各都道府県の建設業許可課などの公的な情報を参照してください。

資本金及び経営基盤

一般建設業の許可を受けるためには、必要な資本金が定められています。この金額は建設業の種類によって異なり、例えば建築工事業では最低500万円の資本金が求められます。また、安定した経営基盤と適切な設備の保有も必要です。

技術力及び技術者の資格

一般建設業の許可を得るためには、少なくとも一人の建設業法に定められた資格を持つ専門技術者を管理責任者として設置する必要があります。例として、一級または二級の建築士や土木施工管理技士の資格が挙げられます。

経営の適正性

申請者及び経営者が経営不正行為や重大な法令違反の歴史がないことを証明する必要があります。信用情報のチェックを通じて、適正な経営が行われているか評価されます。

実績及び経験

過去の建設プロジェクトの実績は特に必要とされない場合もありますが、事業の持続性や発展性を示すために有利に働くことがあります。

オフィスの所在地

事業を行うための適切なオフィスや事務所を設ける必要があります。これにより、事業の本格性と安定性が評価されます。

これらの要件は、一般建設業として適切に事業を行うための基本的な条件であり、都道府県からの許可を受けるために必要です。許可を得ることによって、企業は法的に建設事業を行う資格を得ると同時に、顧客や他の事業者からの信頼を獲得することが可能になります。

一般建設業許可の種類は?

建設業許可(一般建設業)許可の種類
建設業許可(一般建設業)許可の種類

一般建設業許可は、業務の内容に応じてさまざまな種類に分類されます。これにより、事業者は特定の建設活動に特化することができ、それぞれの専門分野でのサービスを提供することが可能です。以下は、一般建設業許可の主な種類です。

  1. 建築工事業
    建築物の建設、修繕、改造、解体などを行う業務を指します。これには住宅、オフィスビル、商業施設などが含まれます。
  2. 土木工事業
    道路、橋梁、ダム、トンネルなど、土木構造物の建設、修繕、改造を扱います。
  3. 電気工事業
    電気設備の設置、修繕、保守を行う業務。これには住宅やビルの電気配線から、大規模な電力インフラの建設までが含まれます。
  4. 管工事業
    ガス、水道、下水などの配管工事
  5. 塗装工事業
    建築物や土木構造物の塗装、仕上げ作業を行います。
  6. 屋根工事業
    屋根の建設、修繕、改造作業を専門とします。
  7. 鋼構造物工事業
    鉄骨などの鋼構造物の製作、組立て、修繕を行う業務です。
  8. 舗装工事業
    道路や広場などの舗装工事を行います。
  9. 造園工事業
    公園や庭園、緑地などの造園作業を専門とする業種です。

以上のように、一般建設業許可は多岐にわたる業種が存在し、それぞれの業種に応じた資格や経験、設備が要求されます。具体的な許可要件や内容は、各都道府県の建設業許可課や関連する機関で確認することができます。

一般建設業許可の請負金額の上限

建設業許可(一般建設業)許可の請負金額の上限
建設業許可(一般建設業)許可の請負金額の上限

令和5年1月1日から、建築工事業に関する下請契約の金額の要件が、以前の6,000万円から7,000万円に変更されました。また、建築工事業以外の場合の要件も、4,000万円から4,500万円へと上方修正されました。

参考:国土交通省HP建設業の許可とはより

一般建設業と特定建設業の違いまとめ

一般建設業と特定建設業は、建設業法に基づく2つの主要な建設業のカテゴリーです。まず一般建設業は、小規模から中規模のプロジェクトに対応し、比較的低い資本金で参入が可能です。

一方、特定建設業は、小規模の事業者向けに設定され、特定の範囲内の工事のみを請け負うことができる許可を示しています。これらのカテゴリーは、事業者の規模や取り扱う業務の範囲、資本金などの要件において異なる特徴を持ちます。

一般建設業と特定建設業の違いを理解して、適切な建設業許可を得ることを推奨します。