独立系メンテナンスでよくある失敗事例6選|トラブルを防ぐ契約と運用のポイント

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失敗は「独立系だから」ではなく「選び方と運用」で起きる

独立系メンテナンスは、コスト最適化や契約の柔軟性といったメリットがある一方、切り替え方を誤るとトラブルになりやすいのも事実です。ただし、それは独立系そのものが悪いのではなく、比較条件が揃っていない、契約範囲が曖昧、引き継ぎ不足、意思決定フローが弱い、といった“運用の設計ミス”で起きることがほとんどです。

ここでは、現場で起こりやすい失敗パターンを具体的に整理し、回避策まで解説します。

失敗事例1:月額だけで決めて、総額が高くなる

最も多いのが、月額の安さだけでPOGに近い提案を選び、部品交換が重なった年に高額請求が出るパターンです。独立系は柔軟な契約を組める反面、範囲が狭い提案も作れます。月額比較だけだと、提案の“薄さ”に気づけません。

回避策:3年総額で比較し、交換想定を言語化する

見積依頼の段階で、過去の故障傾向と築年数を踏まえた交換想定を説明してもらい、3年程度の総額で比較するのが有効です。また、FMを選ぶ場合でも「何が含まれるか」を部品名レベルで確認すると、想定外の請求を避けられます。

失敗事例2:契約書の“例外”を読まず、別途費用が続出

FMだから安心と思っていたのに、免責条件が広く、実際は別途費用が頻発するケースがあります。特に、原因がはっきりしない不具合を「外的要因」として扱われると、管理側は納得しづらくなります。

回避策:免責条件の判断基準を確認し、記録を残す

免責は必要ですが、範囲と判断基準が明確であることが重要です。契約前に、免責となる代表例と、その判断の根拠(写真・測定値など)を提示できるかを確認しましょう。報告書で状況が記録される運用なら、トラブルになりにくくなります。

失敗事例3:部品供給の確認不足で、復旧が遅れる

独立系への切り替えで不安視されるのが部品ですが、実際に問題になるのは「必要な部品が手に入らない」より、「手配に時間がかかり、停止が長引く」ケースです。古い機種や特殊仕様では、調達ルートの強さが差になります。

回避策:主要部品の入手性とリードタイムを事前確認する

切り替え前に、主要部品(ドア装置、制御部、ブレーキ周りなど)の入手性、想定リードタイム、代替提案の有無を確認しましょう。説明が具体的であればあるほど、会社として備えがある可能性が高いと言えます。

失敗事例3:部品供給の確認不足で、復旧が遅れる

失敗事例4:緊急対応が弱く、停止時間が伸びる

「24時間対応」と書かれていても、実際には電話受付のみで現地派遣が遅い、夜間は協力会社対応で技術力に差がある、といったケースがあります。停止時間が伸びると、利用者の不満だけでなく、管理側の対応負荷も増えます。

回避策:停止時フローを文章で出してもらい、初動の定義を揃える

現地到着だけでなく、コールセンターの一次案内、遠隔確認の有無、閉じ込め時の連携、復旧見通しの説明など、停止時フローを文章で提示してもらうと実態が見えます。比較の際は、各社で“24時間”の定義を揃えることが重要です。

失敗事例5:報告書が薄く、予防保全が回らない

独立系に切り替えた後、「異常なし」の報告が続き、安心していたら突然大きな故障が出た、というケースがあります。これは必ずしも点検が手抜きというより、兆候の拾い上げと提案の仕組みが弱く、予防保全が機能していない可能性があります。

回避策:写真・測定値・優先度が入った報告書を条件にする

良い報告書は意思決定を助けます。写真、測定値、部品名、優先度(今すぐ/半年以内/次回)などが揃っていることを条件にすると、予防保全が回りやすくなります。契約前にサンプルを確認し、書式だけでなく“中身の濃さ”を見ましょう。

失敗事例6:切り替え後のコミュニケーション設計がなく、現場が混乱する

保守は技術だけでなく、連絡の取り方、見積承認フロー、停止時の情報共有など、コミュニケーションが品質を左右します。切り替え後に窓口が曖昧だと、軽微な不具合が放置され、結果的に停止やクレームに発展します。

回避策:定例レビューと承認ルールを最初に決める

年1回でもよいので定例レビューを設け、停止・故障の振り返りと交換計画を共有すると、運用が安定します。また、見積が必要なときの承認ルート(誰が、何日以内に、どの基準で判断するか)を決めておくと、対応が遅れにくくなります。

まとめ|失敗を避ける鍵は「範囲の明確化」と「運用の型」

独立系メンテナンスで失敗しやすいポイントは、①月額だけで選ぶ、②契約範囲を曖昧にする、③部品供給と緊急対応を確認しない、④報告書を軽視する、⑤コミュニケーション設計をしない、の5つに集約されます。

逆に言えば、範囲を明確にし、停止時フローと報告書の質を条件化し、引き継ぎと定例レビューを設計すれば、独立系はコストと安全の両立を実現しやすい選択肢になります。切り替えはゴールではなく、管理品質を上げるスタートです。運用の型を作ることで、トラブルを未然に防ぎ、安心して長期運用できる体制が整います。

それでも独立系が合わないケースを知っておく

失敗を防ぐうえで重要なのは、「独立系を選ぶべきでない条件」を先に理解することです。独立系が悪いのではなく、物件側の条件によっては、メーカー系のほうが合理的なことがあります。

特殊仕様・独自制御が強い機種

特殊な制御方式や独自の改造が入っている機種は、調査や復旧に時間がかかる場合があります。メーカー系は技術資料や改修情報へのアクセスが強みになるため、停止許容が小さい用途では有利になることがあります。

停止が許容されない用途(医療・物流・行政等)

病院や物流など、停止がそのまま事業継続リスクになる現場では、対応体制の厚さが最優先になることがあります。この場合、独立系でも体制が整っている会社はありますが、比較の目線は“価格”ではなく“初動と復旧の確実性”に置くべきです。

更新(リニューアル)が近い物件

築年数が進み、近い将来リニューアルを計画している物件では、保守契約を大きく組み替えるより、更新計画と一体で考えたほうが総合最適になる場合があります。保守会社が更新計画の整理まで支援できるかも、選定の重要な観点です。

独立系は万能ではありません。ただ、合わない条件を理解したうえで、範囲と運用を設計して選べば、失敗の確率は大きく下げられます。最後に、選定は一度で終わりではありません。半年〜1年で運用を評価し、必要に応じて契約を微調整する姿勢が、長期的な成功につながります。

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